ジャカルタ駐在の日系企業ファミリーにとって、バリ島は「ちょっと飛行機に乗って2泊3日」で行ける週末リゾートの定番だ。だが2026年に入ってから、その常識が大きく変わりつつある。コスター知事が観光客の素行に関する通告を強め、空港での観光税徴収が本格化し、加えて「資金証明スクリーニング」という新制度の導入が議論されている。家族での旅行計画を立てる前に、知っておくべき変化が3つある。
変化1——観光税は1人150,000ルピア、子供も対象
The Bali Sunによると、バリ島の観光税(Bali Tourist Levy)は1人あたり150,000ルピア(約1,500円)。これは2024年2月に導入され、2026年も同水準で維持されている。重要なのは、大人だけでなく子供も対象という点だ。4人家族(大人2人+子供2人)でバリに行くなら、合計60万ルピア(約6,000円)が必要になる。
過去2年の徴収率は対象者の35%にとどまっており、空港でルピア現金を出して払う面倒を避けて未払いになるケースが多かった。これに対しコスター知事は2026年に入って徴収を強化しており、未払いだとビーチクラブや寺院など観光地への入場が拒否される事例が増えている。
家族旅行で時間を無駄にしないためには、出発前に公式アプリ「Love Bali」で4人分まとめて事前納税しておくのが現実的だ。空港で並ぶ時間を10〜30分節約できる。なお、ホテルや旅行代理店経由でも代理徴収できるようになり(手数料3%)、JTBやH.I.S.のバリ島ツアーは料金にこの観光税を含むようになっている。
変化2——コスター知事の通告書で「行動規範」が厳格化
Love Bali公式によれば、コスター知事は通告書第7号(Circular Letter No.7 / 2025)を発出し、外国人観光客向けの新ガイドラインを発表した。背景には、近年バリで頻発した「神聖な木に登って撮影する欧米観光客」「寺院で半裸になる観光客」「バイクでヘルメットなしで暴走する観光客」への現地住民の不満がある。
新ルールの主なポイントは次の通りだ。寺院や神聖な場所ではサロン(腰布)の着用が必須。神聖な木や聖地での記念撮影は原則禁止。バイクをレンタルする場合、国際運転免許証の携行が必須で、未所持での運転は即罰金になる。違反が悪質な場合は罰金、収監、国外退去の対象になる。
子供連れの家族旅行でも、寺院巡り(ティルタ・ウンプル、タナロット、ウルワツなど)の前に服装の準備が必要だ。多くの寺院は入口でサロンの貸出を行っているが、自前で持参する家族も増えている。日本の和装店で似た布を買って持って行く駐在員家族も多い。
バリ州政府が公式運営するアプリで、観光税の事前納税とeチケット発行が可能。Apple Store・Google Playからダウンロードでき、英語インターフェースに対応している。家族4人分まとめて支払い可能で、決済はクレジットカード・GoPay・OVOなどに対応。発行されたQRコードを空港のイミグレ後に提示すれば、追加で並ぶ必要がなくなる。出発前日までに済ませておくと当日が楽になる。
変化3——2026年から「資金証明スクリーニング」導入が検討
Jakarta Globeによると、バリ州政府は2026年中に「資金証明スクリーニング」の導入を計画している。これは入国時に過去3ヶ月の貯金残高証明を提出させ、滞在期間と予定アクティビティに見合う資金を持っているか審査する仕組みだ。
背景には「量より質」という政策転換がある。バリは年間外国人観光客が600万人を超え、ヌサドゥアやクタは混雑が常態化している。一方で、長期滞在のバックパッカーや無職のいわゆる「デジタルノマド」のうち、不法就労や違法宿泊で問題を起こすケースが目立っている。これを防ぐための事前審査だ。
駐在員家族にとっての影響は大きくない。インドネシア国内便でジャカルタからバリに行く場合は対象外で、海外から日本のパスポートで直行便を使う場合も、ホテル予約済み・帰国便あり・短期滞在なら問題なくクリアできる見込みだ。ただし、義両親など日本から呼び寄せて長期滞在させるケースでは、滞在費の証明書類を準備しておく必要が出てくる可能性がある。
違法宿泊・無許可バイクレンタルの取り締まりも強化
並行して、違法宿泊施設(無許可ヴィラ、Airbnb、ゲストハウス)の取り締まりが強化されている。2026年1月以降、ウブド・チャングー・スミニャックでの摘発が増えており、宿泊客にも事情聴取が及ぶケースが報告されている。家族旅行で予約する際は、Booking.com・アゴダ・Expediaなどの大手予約サイトで「正規ホテル」または「許可済みヴィラ」と明記された施設を選ぶのが安全だ。
また、バイクレンタルも厳格化している。コンビニ前の路上で簡単に借りられる無許可業者は、警察の取り締まり対象だ。公式の「Bali Rentals Bali Wave」「BookBaliBike」など正規業者を使い、国際運転免許証を携行していれば問題ない。子連れでバイクに3人乗りするのは原則違反なので、移動はGrab/Goojek(タクシー型)か正規のチャーター車が安全だ。
今後の注目点
短期的には、6〜7月のサマーホリデーシーズンに観光税の徴収率がどこまで上がるかが焦点だ。徴収率が50%を超えれば、観光税が将来300,000ルピア(約3,000円)へ引き上げられる議論が現実化する見込みだ。家族旅行の予算組みでは、2027年以降は1人3,000円の観光税を見込んでおく方が安全だ。
中期的には、資金証明スクリーニングの正式導入時期と運用ルールが鍵になる。2026年中に施行されれば、JTB等の旅行会社経由でのパッケージツアーを使う方が、個人手配より手続きの煩雑さを避けやすい。家族旅行の手配は、年内は旅行代理店ルートが無難だ。
奥様との週末話題に使える3つのポイント
1. 観光税は出発前にスマホで4人分まとめて済ませておく
公式アプリ「Love Bali」で家族4人分(60万ルピア、約6,000円)を出発前夜に支払っておけば、当日空港で並ぶ手間がない。クレジットカード決済対応で英語インターフェース、5分で完了する。家族にQRコードのスクショを送っておくと、現地で「あれどこいったっけ」を防げる。
2. 寺院巡りは「サロン持参」と「神聖な木の写真禁止」を家族で共有しておく
ティルタ・ウンプルやタナロット寺院は子供にも人気のスポットだが、コスター知事の新通告で服装ルールが厳格化されている。日本から持参するか、ジャカルタの家族向けショップ(Plaza Senayan、Pondok Indah Mallのバティック専門店)で家族分のサロンを買っておくと現地でレンタル待ちの時間が省ける。神聖な木に登っての記念撮影は罰金対象なので、子供にも事前に説明しておくべきだ。
3. 宿はBooking.com・アゴダで「ホテル」または「許可済みヴィラ」のみ予約する
ウブドやチャングーで「安いから」と無許可ヴィラを予約すると、滞在中に警察の聞き取り対象になるリスクがある。家族旅行ではマンダパ(リッツカールトン系)、ザ・サマヤ、ヌサドゥアの大手ホテル系列、もしくは「Pererenan」「Seseh」など新興エリアの正規ヴィラを選ぶのが無難だ。料金は無許可ヴィラより20〜30%高くなるが、旅行を「リラックスする時間」にできる。
主要ソース:
The Bali Sun、
Travel And Tour World、
Jakarta Globe、
Love Bali公式、
TIME

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